倉敷国際ホテル
2012年 10月 18日
設計:浦辺鎮太郎(倉敷建築研究所)
創業に関しては大原総一朗氏が多大に関係している、大原美術館に隣接しているということでなんとなく大原美術館の設計を担当した薬師寺主計氏の遺作なのかもしれないと思っていたが、実際には浦辺鎮太郎氏による設計。時代考証をしてみるとちょうどこの作品辺りから二人が入れ替わって倉敷の街づくりに関わり始めている。これはちょっと興味深い事実を見つけてしまった。
和と洋の融合を意図して設計されており、RC打放しの急勾配の連続する庇と白いモルタル壁による外観が特徴的。しかし、これが個人的には曇徴な印象にしか映らない。'64年の第16回日本建築学会賞作品賞を受賞しているのだから、少なくとも当時はこれが洗練されたものに受け止められたのかもしれない。建物はコの字型にレイアウトされており中央に吹き抜けの玄関ロビーを配置している。老舗ホテルらしい木を基調とたロビーにはオープンに合わせて作成された棟方志功の版画が飾られている。
老舗ホテルではあるけれど高級ホテルじゃないのでロビーで過ごしていてもそれほど緊張感を強いられることはない。ある団体の会議で数度お邪魔したことがあるが、サービスも行き届いておりこれなら安心して宿泊できるだろうと思った。パーティー料理はどこも似たようなもので余り印象に残っていないが、レストランやバーならそれなりに美味しい物が食べられそうな気がする。