建築デザインと日々徒然


by agharta_u_design
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カテゴリ:Book( 52 )

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筒井 康隆 著、'79年4月20日 発売、集英社文庫 刊

小学校時代にNHKで放映された「時をかける少女」を観て原作本を読んだこと、たまたま定期購読していた「GORO」に「美藝公」が連載されていたことを除けば、初めて読んだのがこの初期ショートショート集。たまたま大学時代のバイト先のボスの本棚に有ったのを借りて読んだのがきっかけで、これ以降、暫くはまって読み続けていた期間があった。

酸素をヘリウムに作り変えることが可能なのかどうかは別として、それが水と化学反応を起こしてアルコールになってしまうという表題作。相変わらずの狂気的なスピード感で描かれており、今、読み直しても圧倒されるばかり。多分、当時、このスピード感にやられてすっかりはまってしまったのじゃないかと思う。それでいてちゃんとヲチを用意しているのだからたまらない。

そして今回、改めて読み直してみて思うに、この作品集には以後の筒井作品のモチーフとなっている物が多い。「底流」で登場するテレパスと一般人のやり取りなどは、いわゆる後の「七瀬三部作」に引き継がれてゆく構図だと思う。勿論、今作品では一般人が逆に悪意を徹底的にテレパスに送りつけるという内容で、この一般人の罵詈雑言のスタイルも以後の作品に引き継がれていると思う。

それにしても30年以上経過して読み直すとほとんど忘れているのはショックかも。(^_^;)
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by agharta_u_design | 2013-11-05 12:28 | Book

模倣の殺意

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中町 信 著、04年8月13日 発売、東京創元社 刊

全く知らない作家、調べてみたら既に亡くなっていらっしゃる。現在ではほぼ無名に近い作家のようだが、1973年に発表、発売された時には「新人賞殺人事件」というタイトルだったらしい。久しく在庫がなかった模様だが、04年に復刊されたのを機会に再度好評を博している模様。中町氏は妻から「あなたの初期作品はあなたが死んだあとで評価されると思う」と言われたそうだが、まさにその通り。

新進作家 坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。自殺として処理されたが坂井に編集雑務を頼んでいた中田秋子は独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作がさる有名作家の短編の盗作である疑惑に突き当たる。

読み始めてすぐに軽い違和感を感じる、それはその後も引き続き、終盤に近くなるとこれは作者のプロット・ミスじゃないのかと真剣に思えてしまうほど酷いものになった。しかし、これでもちゃんと出版されている本なのだから間違いはないのだろうと思い込んでラストを迎えると、これこそがトリックだったとは。(笑) まだ読んでいないバンドメンバーに申し訳ないので詳しくは書かないが、これをトリックと呼んで推理小説として成立させていいものかどうかはなはな疑問、まぁ、面白かったのだが。
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by agharta_u_design | 2013-10-09 15:06 | Book

破綻

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林原 靖 著、'13年7月24日 発売、ワック 刊

何気に本屋に寄ったら店頭の平台へびっしりと並べられている本が目に止まる。タイトルが「破綻」、帯には「敗軍の将、兵を語る」という凄まじい文句が踊っている。注視してみるとサブタイトルが「バイオ企業・林原の真実」とある。林原が破綻したのは当時のTVや新聞報道で知ってはいたが、正直、腑に落ちない気分がずっと付き纏っていた。当時の専務でもあった著者の口から語られるものであれば詳しい経緯が判るかと速攻でお買い上げ。

“バイオの雄"として名を轟かせてきた岡山の世界的優良企業「林原」が、突然、会社更生法を申請したのは2011年2月。黒字を計上し続けてきた優良企業に何が起こったのか? 混乱と反乱、スキャンダルを境に失速、襲いかかった銀行、弁護士、マスコミ。弁済率93パーセントの不可思議な倒産。専務取締役として渦中に身を置いた著者が「不可解な破綻劇」の真実を語る!(amazonより引用)


著者が書いているように研究・開発という業務は、単年度での利益確保という会計システムに馴染まないため非上場の同族経営を続けることになり、結果、不適切な会計処理が行われていたことは理解できる。またそれを知ってメインの中国銀行もサブの住友信託銀行も融資を続けていたのに、ある日を境に住友信託銀行が中国銀行をそそのかす形で会計処理を問題にして貸し剥がしを行ったということか。そしてそれに群がる大手弁護士事務所等の破綻ビジネスなるものが存在するのは空恐ろしい。

弁済率93%、それまでの支払利息で充分儲けているはずの住友信託銀行が経営陣に対して訴訟を起こすわ、個人口座まで凍結するはで無一文になるまで追い込みをかける場面は圧巻過ぎて怒りを感じてしまう。経営陣の脇の甘さは責められるべきことだろうけど、銀行によってこんな事態になり優秀な地元企業がに傷がつくのはどういったものだろうか。
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by agharta_u_design | 2013-09-10 12:29 | Book

原発はいらない

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小出 裕章 著、'11年7月16日 発売、幻冬舎ルネッサンス 刊

バンド内図書委員会から廻ってきた本、正直、学者といわれる方々の書かれた本はなかなか読みづらい。文章としての表現力より、事実を的確に書くために仕方ないことだろうとは思うのだが。そんな中、この本は著者があちこちで発表してきた内容を編集者が取り纏めるという形で仕上げられているのでかなり読み易かった。図解説明が単純に明快化されているところも大きいと思う。

「序章 私が四〇年間、原発に反対してきた本当の理由」、「第1章 福島第一原発は今後どうなるのか?」、「第2章 危険なのは福島原発だけではない」、「第3章 原発に関する何でもQ&A」、「第4章 未来を担う子どものために、大人がやるべきこと」、「福島第一原発事故の経過」と判り易く章立てされている。原子核工学科の学友が女川原発反対運動の中で大学を中退し鳶職に転職して運動に専念したこと、著者は大学の中で運動を続けて行くことを選んだこと等、昔から危険を訴えていた方々がいらっしゃったのには考えさせられる。

個人的には相変わらず原発には懐疑的な態度は変わらないのだが、毎週の様に福島第一原発での新たなる問題点が報道されているのを見聞きしているとやはり再稼働には反対と言わざる得ない。また、こんな状態でも原子力発電を残そうとする政府の動きを見ていると、いつでも原爆を開発、完成させる為のプルトニウムを所有しておくための方便に使われているような気がしてきた。考え過ぎか。(^_^;)
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by agharta_u_design | 2013-08-20 13:23 | Book

みをつくし料理帖 残月

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高田 郁 著、'13年06月15日発売、 角川春樹事務所 刊

今までは年に二回、春と秋に発売されていたのだが、著者の事情により昨年秋の新刊発売がなかっただけでなく、この春の発売も大きく遅れて初夏になってやっと発売された。前巻のラストがなかなか悲惨な内容だっただけに、最新刊の発売を心待ちにしていた方は結構多いだろうと思う。えぇ、私もその一人でさすがに発売がなかなか発表されないのにはイラついた。(^_^;)

吉原の大火により助っ人料理人 又次を亡くした辛く悲しかった時は過ぎ、「つる家」の人々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れ、あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。また、失踪していた江戸店の佐平衛との再会、「登龍楼」からの呼び出しに澪の新たなる試練が始まる。

今まで毎回、ジェット・コースターの様な話の展開ではらはらしていたのだが、何故か今回は割りと平坦な展開で拍子抜け。それと文章全体が妙にすっきりしてよみやすくなったような気がする。文体が綺麗になったと言うんじゃなくて伏線が減らされたというか、整理されたような印象を受ける。まぁ、この辺はもう一度読み直してみないとなんとも言えないのだが。

しかし、このペースでいくと秋の新刊発売は無く、来年以降にずれ込むのだろうか。
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by agharta_u_design | 2013-07-16 12:39 | Book

傷―邦銀崩壊

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幸田 真音 著、01年5月発売、文藝春秋 刊

ページ数が多ければ多いほど話しの展開が遅くなり冗長な感じを受けることが多いのだが、今作品に関していえば舞台が日本とアメリカに別れる上、登場人物も多いので上下巻で600Pながら最後まで余りダレることもなく読み通すことが出来た。それにしても主人公が「性格のきつい美女」という相変わらずの設定はちと飽きるかも。経済小説ならしかたがないのか。

相次ぐ金融破綻に効果的な経済政策を打ち出せない政府、プライドだけの大蔵官僚、不良債権隠しに走る銀行。そんな折、邦銀ニューヨーク支店の花形ディーラーが高層ホテルから身を投げた。旧友の芹沢は自殺の真相を探るうちに、ウォール街で辣腕を振るうトップセールスウーマン 州波と出会う。「あんな銀行なんかつぶれればいい」。彼女は邦銀に深い恨みを抱いていた。そして州波はそのキャリアと私財の全てをなげうって芹沢とともに驚くべき秘策を実行する。

内容的には「金融腐蝕列島」と被りそうな感じなのだが、「自殺の謎」を解明するというミステリー的な要素も取り入れられているところが明らかに違うか。そういえば、今まで読んできた氏の作品ではこういう形は初めてだったような気がする。それとPCのデーターをコピーするメディアがCDというのも今では古臭さを感じてしまうのは仕方ないことか。(^_^;)
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by agharta_u_design | 2013-07-01 12:10 | Book

髪結い伊三次捕物余話

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宇江佐真理 著、'00年4月発売、文藝春秋 刊

シリーズ第一巻にあたる「幻の声」で第75回オール讀物新人賞受賞を受賞し、その後、「紫紺のつばめ」「さらば深川」「さんだらぼっち」「黒く塗れ」「君を乗せる舟」「雨を見たか」「我、言挙げす」「今日を刻む時計」「心に吹く風」「明日のことは知らず」とほぼ5年間発表され続けてきた。シリーズ作品としてはこの他に「泣きの銀次」があるぐらいか。

八丁堀の同心不破友之進から手先として使われる廻り髪結いの伊三次。辰巳芸者の文吉と心を通わせながら、手先として江戸の町を東西奔走する。伊三次と文吉、沸き起こる数々の事件を通して江戸の市井の人々の哀歓、法では裁けぬ浮世のしがらみが書き綴られていく。氏の精密な筆致、構成力があればこそ存分に楽しめる作品だと思う。

個人邸には「我、言挙げす」以降は読んでないし、余り読む気にもならない。伊三次と文吉の粋な関係がたまらなく魅力的で引きずり込まれたのだが、「さらば深川」以降は二人は結婚して同居してしまうばかりか、「君を乗せる舟」辺りからは物語の中心が定廻り同心の不破友之進の嫡男の龍之介になってしまう。こうなると読み始めた時の伊三次と文吉にワクワクした気持ちは無くなってしまった。内容的には勿論充分楽しめるのだが、違うシリーズにして頂ければ有り難かったかも。
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by agharta_u_design | 2013-06-12 12:01 | Book
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竹中平蔵+幸田真音 対談、08年02月発売、文藝春秋刊

竹中 平蔵:'01年小泉内閣で経済財政政策担当大臣、'02年に金融担当大臣、'04年には郵政民営化担当大臣を兼務、'05年総務大臣。現在、慶応義塾大学グローバルセキュリティ研究所教授・所長(経済学博士)
幸田 真音:米国系銀行や証券会社での債券ディーラーなどを経て、95年『小説ヘッジファンド』で作家に転身。また政府税制調査会、財政審議会などの委員も務めていた。

竹中氏が抵抗勢力から強烈なバッシングを受けながら、どのように構造改革を推し進めていったか、族議員の暗躍で今、骨抜きになりつつある改革路線、金融立国ニッポンへの道筋、そして最後に今後の日本の未来への提言を小説「日本国債」の著者の幸田真音氏を聞き役として展開している内容。この当時にこれを読めば面白かったと思うが、さすがに5年経過した現時点では面白みに欠けた。やはりリアルタイムに読まなければ。(^_^;)

帯に「3時間で早わかり」と書かれているので飛び付いたが、どうしてどうして眠りに堕ちること度々で、読み終えるまでに1周間程度掛かった。いや、それほど経済に関しては門外漢ということ。「未来のために、百兆円の日本の外貨準備のお金をどう運用すべきか?」という問に減点主義でリスク恐怖症のサラリーマンや役所の方に運用を任せるのではなく、プロを外資から招へいすべきとしたのは刺激的であった。
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by agharta_u_design | 2013-05-14 13:24 | Book
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山本一力 著、'09年10月15日 発売、講談社 刊

その名の通り「深川黄表紙掛取り帖」の第二弾、前作が小気味よかったのでこれも充分期待できるし、蔵秀と雅乃の恋の行方も気になるところ。何より久し振りに氏の軽妙な文体、絶妙な展開、何より痛快な内容は保証されているようなものだから、読む前からワクワクしてしまう。しかし、新書を手にしたものだから寝転がって読みづらいのが悩みの種。(^_^;)

蔵秀の父親が土佐で旨い辛口の酒と鰹の塩辛を江戸にもって帰り、これを江戸で広めたいという。相談を受けた蔵秀は紀伊国屋文左衛門を通して幕府老中の柳沢吉保に取り次ぎ、それによって柳沢吉保はこれまでの土佐藩に対する見識を改め、紀伊国屋文左衛門と共にその銘酒と塩辛の江戸での販売に手を貸すことになる。仕入の為の土佐への道中にも色々な難問を抱え解決していく。

464ページと厚さは寝転がって読むのにはやはりサイズ的にも重さ的にもなかなか困難だった。(^_^;) しかし、その内容の面白さに読んでいるうちに寝てしまい本の角で鼻を打ち、鼻血で目が覚めるという最悪の事態は避けられた。何より蔵秀と雅乃が夫婦になることになったのは目出度い限り。青春ロード・ムービーを見終えたような爽快感がやはり気持ちいい。
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by agharta_u_design | 2013-04-10 12:00 | Book
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孫崎 享 著、'12年9月24日発売、小学館 刊

TVでもお馴染みの元外務省高級官僚で、現在では筑波大学にて国際総合学類の講師を非常勤で務めている。親米派の多い外務省には珍しく対米独立路線を主張されており、アメリカからの要求は日本の国益にかなう部分のみ協調すればよいというもの。う~ん、この方自身がアメリカから潰されないのかと気になるが、政治家じゃないから大丈夫なのだろうか。

松本清張の「日本の黒い霧」以降、戦後の日本はいかにGHQからの意向、サンフランシスコ講和条約以降は直接アメリカの意向を受けて方針が決められているのには驚いた。そしてアメリカにとって邪魔になる対米独立派の政治家はアメリカの意向により尽く表舞台から消し去られたというのが本書のあらすじ。田中角栄、鳩山由紀夫や小沢一郎が対米独立派というのは誰もが感じるところだが、岸信介、佐藤栄までが対米独立派だったとい主張はちょっとどうなんだろうか。

それにしてもこの手の本は作者が「作家」じゃないので、やはり文章が余り上手じゃないのが個人的には残念。この辺りは松本清張氏の「日本の黒い霧」と比較すれば一目瞭然。まぁ、この手の本は文章力どうこうじゃなくてその内容こそが重要なのであることは勿論理解しているが。それでも外務省国際情報局局長まで務め上げている氏の語る内容は実に興味深かった。
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by agharta_u_design | 2013-03-14 13:28 | Book