建部町温泉会館@岡山
2012年 10月 05日
設計:石山修武+早稲田大学 石山修武研究室
言わずと知れた岡山県出身の建築家、その割には地元岡山にはほとんど作品が無いのは残念。この建物も当初は建部町国際交流ビラと呼ばれていたのだが、どういうわけか現在は建部町温泉会館となっている。まぁ、内容としては当時から一貫として温泉+宿泊施設とされているのが救いなのだが、現在はそのメインの入浴棟が老朽化の為、休業しているというのは寂しい限り。(宿泊棟は営業されており、入浴は他施設で賄われる)
岡山市内から国道53号線を北上していると左手の旭川の対岸に突如として現れる不可思議な建物群が目を引く。それぞれがばらばらの形態を与えられた木造建物、そしてアンバランスに組まれた木材の架構。ともすれば緊張感を演出しそうな構成なのだが、不思議と和らいだ印象を与えるのは石山修武氏の独特の感覚なのだろうと思う。石井和紘氏の数寄屋邑の対局にある木造作品で秀逸だと思う。
'90年に竣工ということで時代的にCTO(クリエイティブ・タウン・オカヤマ)事業の様な気がするのだが、残念ながらそれを確認する術が無いのが実情。バブル崩壊ともに頓挫した事業なのできちんとした報告書があるかどうかも怪しい状態で、取り敢えず現在の岡山県のHPでは確認できない。それでもこれだけの建築物が老朽化で使用できないというのはもったいない話なので、是非とも改修して利用再開してもらいたいものだ。