岡山高島屋(日本生命岡山駅前ビル)
2012年 03月 31日
設計:村野藤吾+村野・森建築事務所
余りにも子どもの頃から目にしている当たり前の光景なので、これが巨匠 村野藤吾設計だとは全然気が付きもしなかった。確かに言われて見れば村野藤吾の手掛ける商業施設らしいデザインであることに気付くのだが、それでも建築を建築を学びだした以降でも暫くは気付かなかった。三つ子の魂百までもというが、建築としてよりは岡山の町の心象風景としてこびり付いていたのだろう。
そうなるといつからこの建物がここにあるのか気になってググってみると、'73年には日本生命岡山駅前ビルとして竣工おり、そのまま岡山高島屋としてオープンしている。丁度、中学に進学して岡山や倉敷へウロウロ出掛け出す多感な頃に合致するので、見事にずばっと刷り込まれた模様。まぁ、この辺りは笠岡在住の私と岡山駅前界隈に住んでいた方々との思いは大きく乖離しているだろう。
モダニズムらしい垂直ラインを強調したデザイン、1階部分をセットバックさせてちょっとしたアーケード的な空間の演出、そしてそのディテールはやはり素晴らしい。デザインの制約の多い大型商業施設ながら見事な演出だと思う。こういう施設だけではなく和風数寄屋建築でも素晴らしい作品を残されているというのはやはりただものとは思えない。個人的には村野建築としてはこちらの数寄屋建築の方に弾かれてしまう。ウェスティン都ホテル京都の「佳水園」など名作が多い。