初ものがたり
2012年 02月 16日
宮部みゆき 著、'99年8月出版、新潮社
「あかんべえ」以来、2冊目の宮部みゆき。短編よりは読み応えのある長編者の方が好きなのだが、これはタイトル通り四季の「初もの」を切り口にして話が繋がっていくという内容で、ぶつ切りの短編集じゃなかったのは助かった。やはり江戸といえば初もの、初ものといえば料理が絡む。やはりこういう趣向が良いな思いながら読み始めたが、料理の描写部分はやはり桶並正太郎が上。(。。)☆\バキ
本所深川をあずかる岡っ引きの茂七親分は下っ引きの糸吉・権三とともに、江戸の下町で起こる不思議な事件に立ち向かう。夜っぴて屋台を開いている正体不明の稲荷寿司屋や、霊力をもつという拝み屋の日道様と呼ばれる少年など個性豊かな登場人物たちとの人情捕物話。登場する初ものは、「鰹」「白魚」「柿」「桜」ぐらいだったと思う。
同じ時代小説とは言え、宮部みゆきは他の作家とは違った香りがすると思うのは偏見か? 読んでいて常に感じるのがなんとなくミステリーっぽい雰囲気。稲荷寿司の屋台のおやじの正体、拝み屋の日道様のその後が明らかにされていないことがその原因か。まぁ、「あかんべえ」よりは随分時代小説らしかったのは有り難がったのだが。ちなみにNHKの金曜時代劇で「茂七の事件簿」として放映されていた模様。